杜の里から

日々のつれづれあれやこれ

クロスビーに乗ってて不満に思う事一つ

昨年の春、今まで乗り続けていたワゴンRから、新しくスズキクロスビーに乗り換えました。

実は車検時に代車としてしばらく借りて乗っていて、その走りが気に入り思わず買い換えてしまったのです。

まあまんまとスズキの戦略に載せられてしまった訳ですが(苦笑)。

 

このクロスビーという車、アクセルが非常に軽くて尚且つエンジンのレスポンスも良くきびきび走り、車を転がしていてとにかく楽しいのです。

初めて乗った後、エンジンがやたらよく回ると思って調べてみたらこれ、あのスイフトRStと同じエンジンを積んでいたのですね。

最高出力99ps(73kW)/5500rpm、最大トルク150Nm(15.3kgm)/1700-4000rpmと、1000ccながら1500cc並みの性能を引き出すK10C型直噴3気筒ブースターターボエンジン、これが4WDでも車重僅か1000kgの軽い車体を引っ張るのですから、その加速感はそこらのスポーツカーにも負けない程で、交差点で先頭に立った時などはいつもその軽快な加速感を味わってます。

回転数によっては3気筒エンジン特有の太い振動も目立つ時もありますが、自身昔はバイク乗りだった事もあり、逆にその振動が心地よく感じたりしてさほど気にするものではありません。

それに何より、変速ギアがCVTじゃなく6速オートマというのも高評価の一つ。

今までずっとCVTに乗ってきて、あの勝手にエンジンが回っていってただ乗せられているだけという感じが、どうしても僕の性には合いませんでした。

やはりアクセルの挙動通りにギアが次々にシフトアップしていき、また素直に減速していくATのフィーリングの方が僕的にはしっくりきます。

 

そして、我が家における夫婦共通の趣味が「山城(やまじろ)巡り」というやつでして、城跡に辿り着くまでは人里離れた「ポツンと一軒家」の様な道なき道を走り回る事も多数。

これまでは軽の非力なエンジンを酷使していましたが、クロスビーのおかげでそんな所にも余裕を持って乗り入れる様になりました。

 (例えばこんな道、片側は絶壁の崖)

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 座席位置が高いからボンネットの見切りも良く、室内の広さと見晴らしの良さはこの車の大きなアドバンテージだと思ってます。

 

もちろん良い所だけではありません。

 

よく言われるクロスビーの欠点として、試乗インプレッションの記事ではシートの柔らかさが問題にされ、事実自分も新車が来た時早速200kmを走破してみたのですが、確かに降りた後に腰が痛くなったという経験をしました。

「このシートは使えない。」

そう思ってしばらくは車屋さんで硬めのシートクッションやレーシング用シートなど色々物色したのですが、これといったものが見つからぬまま3~4000kmほど走っている内に、何とこの柔らかかったシートが徐々に自分の体に馴染んできたのです。

市販されているシートクッションでは低反発性シートが多いのですが、このシートはそれ自身がまさにそんな感じで、乗るほどにいつの間にか座面が自分の体に合ってきて、夏休みに3日間で1000km以上走破した時でさえも、腰の痛みはさほどではなかったのには我ながら驚きました。

やはりこの辺の使い込んだ感触というものは、試乗時の印象だけでは絶対に分からぬものなのだと実感します。

 

でも乗っていて唯一不満に思うのがこのスピードメーター。↓

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この車で200kmの表示があるなんて、

「なぁ~に考えてんだ!」

と思う訳です。

しかも、アナログメーターというものをまるで理解していないただの見た目重視のデザインに、これがとても車メーカーの仕事とは思えず、

「これデザインしたのトウシロかよ!

と思ってしまうのです。

 

そもそもアナログメーターの利点というのは、細かな表記を見るのではなく感じる事によって状況を理解する、つまり直感的に判断出来る所にある訳です。

スピードメーターならば、メーター針が垂直となる所を基準とし、それが右に傾くか左に傾くかで速い遅いを瞬間的に感じとれるのです。

 

ちなみに他のメーカーはどうなってるかと言うと、例えばトヨタのヤリスクロス。

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スポーツタイプの日産スカイライン

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どちらも最高速は180km、中心の90kmの所で針は垂直になる様にデザインされています。

そして国内常用域である60~100kmの間では針は常に垂直方向上部を差しているので、ドライバーの視界の下方端には常に針が存在し、速度を確認する際も縦方向への最小限の視線移動で済む訳です(たまにデザイン重視でメーターの開始が水平からとなってるのもありますが、それでも常用域ではメーター針は上方部にある様になっています)。

 

同じスズキの車でも、2013年に登場したスイフトXS-DJEはこう。

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240kmというチャレンジングなメーターを付けた、2011年のZC32型スイフトスポーツでも常用域では針は上方部を差し、尚且つ分かりやすい様に100kmの所には目印が付けてあります。

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半面クロスビーはどうか(カタログより)。↓

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針が天頂を示すのは時速160km、この車でこんなに出せますかって!

そして最もよく使う常用域60~100kmでは針は常に左側水平或いは下方向を向いていて、その分速度確認するにも斜め下方への余計な視線移動が必要となります。

おまけに速度表示のピッチ間も狭いため、微妙な速度を確認するにはどうしてもコンマ何秒かは遅れる事になり、ちょっと目を離すその僅かの差が実際は数メートルの差となり、その分事故に結び付く確率も高くなる訳です。

 

まあ、実際街中では前の車に素直に付いていけば良いので小まめにメーターを覗く事はないですが、この車、加速が良く静かなので、自分の感覚では60kmで走っているつもりでも実は70km出てたという事がざらにあるのです。

でもこのメーターでは60kmか70kmかを瞬時に確認するのは難しく、運転中ついメーターを凝視してしまったりして危ない事この上ない。

つまりスピードメーターとしての本来の役割を果たしていないのです。

その上、スポーツモードやスノーモードに切り替えた時には、カタログの様にメーター横に動くイラストが現れ、メーカーでは「遊び心」のつもりでしょうが、これが何ともガキっぽい。

はっきり言ってこれも余計な表示であり、トウシロのデザインと呼ぶ理由がここにある訳です。

 

昨年10月にクロスビーはマイナーチェンジが行われ、待望のACC(アダプティブクルーズコントロール)や「車線維持支援機能」という安全装備はより充実しましたが、残念ながらメーターはカラーリングだけの変更でした。

同じメーターはイグニスにも搭載されており、この部分だけは問題ありと言わざるを得ず、メーカーにはぜひ再考を望むものです(出来れば新たなデザインのスピードメーターのパーツ販売をしてほしい)。

 

こんな事に苦情を言うのは僕だけかと思いきや、同じ問題を指摘しているユーザーの方が他にもいらっしゃいました。

やはり同様の不満を持ってる人もいるのですね。ちょっと安心しました。

 

ちなみに最新の4代目スイフトのメーターを見てみると、最高速はとうとう260kmという、国内では走行不可能な表示となってしまってます。

ここ、ヨーロッパじゃないんだからね、ホントにもう…。

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そしてよくよく見るとこのメーター、数字位置といいピッチ間隔といいクロスビーとほぼ同じ、どうやら針を可動させる内部ギヤなどはクロスビーと共用部品を使用してるんじゃないかと。

こんなかっこばかりで安全性無視のデザインをしたデザイン部、そして何の疑問も持たずに採用してしまったスズキ上層部、一体どうしちゃったの?

 

ちなみに安全性重視のボルボのインパネデザインはこうなってます。

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最高速はスイフトと同じ260km表記ですが、低速域の0~40kmは良く目立つ色の細かな速度表記、それ以上は常用速度域を示すグラデーションで誘導、そして規定速度(この場合は100km)が設定されたら、そこの目盛りは赤で表示されます。

常用域では針は上方部を差す位置にあり、この様にドライバーがスピードを直感的に判断出来る様によく考慮されています。

スズキもヨーロッパをターゲットにするのならば、せめてこれぐらいの安全性は意識してほしいものです。

 

また、こんな事を何も指摘しない車評論家やライター達も問題だと思います。

分かっていながら何も言わないのか、それとも何も感じなかったのか(ならばライター失格)、或いはメーカーや出版社に対する忖度か。

とにかくダメなものはダメなのだとはっきり言わない事が、こうしてメーカーに大きな勘違いをさせる原因だと思うのです。

特に安全性に関しては命に関わる問題でもあるし、たとえ些細な事でも気になったらズバズバ指摘し、メーカーはその声を真摯に受け止める努力をしなければ、これから始まる新たなEV社会においても、国産メーカーは他国からどんどん取り残されていくばかりだと思います。

 

とまあ、言いたい事を言わせてもらったけど、クロスビーが楽しい車である事には変わりありません。

特に4WDに装着の「スポーツモード」。

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これに切り替えた途端アクセルはクィックな反応となり、特にワインディングロードを走る時などは、ヘアピンカーブを抜ける時もエンジンは息継ぎもせず軽い車体をグイグイと引っ張り、まさにこれこそが真骨頂と言える走りをするのです。

それにこういう道ではスピードメーターはあまり意味を持たないので、この時は何も考えず気軽にハンドルを握れます。

東北の県境には今でも急峻な峠道が数多くあります(例えば国道398号線の宮城~秋田県境の「温湯七曲り」とか、米沢市~白布温泉間の「船坂峠」旧道などなど)。

昨年の夏は牡鹿半島を走ってきましたが、その時もメインの「牡鹿コバルトライン」ではなく、女川原発がある海岸線の方の道を走ってきました(原発関連工事でダンプだらけでしたが)。

今年はまた、以前軽で苦労して走った峠道を、再びこいつで走破したいと思っている所です。

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ここも車雑誌の試乗レポートでは絶対に紹介されないだろうし、でもこういう道こそがクロスビーには一番似合っていると僕は思っているのです。