杜の里から

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ALPS処理水の海洋放出で、誰が風評を流すのか

4月13日、政府は正式に福島第一原発に溜まる処理水を再浄化した後、基準値以下に薄めて海洋放出する方針を発表しました。

この発表が突然だったこともあり、まあ当然の様に各所から批判・反発が沸き起こりましたね。

それでも、こうなる事も分かった上で敢えて決断した政府の方針を僕は支持します。

 

原発事故直後からずっと福島の住人は、言われもない差別と風評に苦しめられてきました。

でも当時は放射能に関する知識も乏しかった事もあり、過剰に不安視する気持ちは分からないでもありませんが、でも中には

「自然の放射能は安全だが、原発放射能は毒である。」

などというとんでもない言説まで現れる始末で、この時などは思わず、

「この人達、頭悪いんじゃないの?」

なんて思ったものです。

 

そんなトンデモ言説もようやく消え去り、壊滅的な打撃をこうむった漁業がようやく復旧したと思った矢先に、漁業者達を飛び越えての突如の海洋放出発表ですから、風評を恐れて政府を批判する漁業者の人達の気持ちも痛いほど理解出来ます。

 

でも、何が正しくて何が間違っているかすべてが混沌としていたあの事故当時と比べると、今回は分かりやすいです。

 

政府の発表によると、今回放出する処理水はトリチウムの濃度を国内の規制基準の40分の1以下世界保健機関(WHO)の飲料水水質ガイドラインの7分の1程度に薄める、と具体的な数字も提示していて、そのモニタリングにIAEA国際原子力機関)の全面協力も取り付けている事は高評価です。

本来ならばこの事こそ大きく報道されるべきなのに、なぜか国内のマスコミの取り上げ方が小さいのが気になります。

その上、これなどテレビのニュースではほとんど報道されていませんが、13日の日に経産省は海外の経済協力開発機構/原子力機関 (OECD/NEA)やイギリスの専門家とも意見交換を行っており、双方からIAEAの協力に対し歓迎の意向が伝えられているのです。

経産省HP ニュースリリースより)

OECD/NEAによるステートメント(仮約)より抜粋、協調は引用者)↓

このような決定が、安全性を最優先とし、科学的・技術的根拠に基づいて行われれば、それは世界の経験と知識の一部となります。NEAは、日本や世界中の同僚たちとともに、こうした活動から得られる貴重な教訓を共有できることを楽しみにしています。これらの教訓の中には、意思決定プロセスのすべての段階における関係者との対話の実施・進展があります。特に、今回の決定の実施による影響を長期的に評価することや、食品品質に係る風評に残る課題を解決することの重要性が挙げられます。NEAは、これら課題への対処に関し、支援を提供する準備ができています。

 (一部抜粋)↓

  • 英国において、液体の海洋放出を含めたあらゆる放射性物質の環境放出はよく理解されており、我々の独立した規制当局が設定・施行した条件の下でのみ実行されるものである。すべてのこのような放出については、安全な水準内であることを保証するために特定の許可が必要となる。

  • IAEAの日本政府に対する協力提案は処理水の放出を支援し、モニタリングするものであり、処理水の放出がオープンで透明な方法で行われていることを保証するためにも、この方向性を歓迎する

 

そしてお隣の中国・韓国からは予定通りの日本批判が湧き上がりましたが、それでも韓国内のメディアの中では政権を批判する内容の記事も挙げられたりしていて、今後の動向が注目されます。

 

問題は国内の風評です。

政府は事故原発の建屋内に溜まる放射性物質に汚染された汚染水と、ALPSで浄化処理された処理水をきっちり区別しています。

ニュースリリースより引用、協調は引用者)↓

4月13日に決定した基本方針において、ALPS処理水の処分の際には、2次処理や希釈によって、トリチウムを含む放射性物質に関する規制基準を大幅に下回ることを確認し、安全性を確保することとしていますが、上記の経緯から、規制基準値を超える放射性物質を含む水、あるいは汚染水を環境中に放出するとの誤解が一部にあります。

そうした誤解に基づく風評被害を防止するため、今後は、「トリチウム以外の核種について、環境放出の際の規制基準を満たす水」のみを「ALPS処理水」と呼称することとします。

この様に、海洋放出するのはあくまで「処理水」であり、「汚染水」ではない事をしっかり訴えています。

 

つまりそれを知りつつ「汚染水を放出」などと言う事は、風評を生むための悪質なデマを流すという事です。

そしてこんなデマを唱える者こそ、多くの漁業者達を苦しめる者(=漁業者の敵)なのですね。

つまり、

・「汚染水を放出」=デマ

・デマを流す者=風評を生む者=漁業者の敵

という非常に分かりやすい構図で、また誰がデマを言ってるのか今はすぐに分かる訳です。

今回は分かりやすいというのはこういう事なのですね。

 

じゃあデマを吹聴したらどうなるか、こちらのサイトが参考になります。

(以下抜粋)

(1)信用毀損(きそん)罪

・ウソをついて人の経済的な側面での社会的評価を低下させるような場合

(2)偽計業務妨害罪や威力業務妨害

・威力業務妨害罪とは、威力を用いて他人の業務を妨害すること

・偽計と威力の区別は判然とせず、他人の意思を制圧するような内容なら威力、それ以外は偽計

 

「ALPS処理水」が放出される予定は2年後、その間東電・政府はしっかりと情報公開を行い、我々国民がそれを監視していくのは当たり前ですが、同時に風評によって漁業者が苦しむ事がない様、が、どの団体が、どこのメディアがデマを流しているのか、それもしっかりチェックしていこうと思います。

取り合えず【汚染水放出】で検索して引っ掛かった所を保存して、そこが2年後までにどう主張が変化するのか追いかけてみましょうかね。

 

少なくとも、僕の周りの「処理水海洋放出肯定」の人は皆、被災地漁業のサポーターばかりです。

たとえ処理水の放出が始まっても、僕はこれからも今と変わらず、地元の魚を美味しくいただきます。