雲蝶(うんちょう)を巡る(1)
今年5月4日からのGWは、仙台から足を延ばして新潟県内を巡ってみました。
元々は糸魚川市のフォッサマグナミュージアムが旅の目的だったのですが、途中どこか見る所はないかと観光案内を探した所、新潟県には「日本のミケランジェロ」と呼ばれる「石川雲蝶」という彫物師が手掛けた多くの寺社がある事を知りました。
そこで旅のスケジュールを再考し、初めは予定してなかった寺社巡りも新たに追加して急ぎ足の旅をしてきました。
自分は寺社巡りが趣味の一つですが、いつも注目している所は建築物としての神社の形と狛犬、そして神社を彩る装飾彫刻です。
装飾の中で特に好きな部分は「木鼻」という神社の柱から横に突き出た部分で、そこに施される「獅子」とか「獏」などの彫像が神社ごとに異なっていて、見る度にそれを作った彫工の技と個性に魅力を感じています。

初めに訪れたのは三条市にある「本成寺」、法華宗の総本山で1297年(永仁5年)に日印上人によって創建されたとされます。

6,000坪の広大な境内には、本堂・客殿・鐘楼・千仏堂等があり、本堂はどっしりとした佇まいで迫力があります。

木鼻は「獅子」と「獏」、と初め思ったのですが、獏の鼻が異様に長く体もでかいので、もしかしたら「象鼻」?

本堂の中には自由に入れたので、早速覗いてみました。

内陣の外周の壁には木鼻をはじめ様々な装飾が施されています。

これが雲蝶の手によるものか、この時は資料も何もなかったので分かりませんでしたが、いずれも物語性のある見事な彫刻でした。


境内のすぐ隣に六角形の「千仏堂」がありましたが、個人的にはここがお気に入りです。

六角の角を守る木鼻がまことに個性的、獅子というより狛犬の様。

こちらは相手を威嚇する姿、この形態は初めて見ました。
カッと口を開ける姿は何ともチャーミング、カミさんは肉球に萌えてました(笑)。

これどこかで見た事あるなと既視感を覚えましたが、調べてみたら4年前に行った山形県鶴岡市の「鶴岡八幡宮」にいた「狛ネコ」の姿そのものでした(笑)。

獏鼻も独特の形、角毎にすべて違う形に彫工のセンスが光ります。

ただ全体的に「可愛い」という印象で、これがこの彫工の個性なのですね。


結局ここでは雲蝶の作品はどれだか分からず、やはり作品集などの資料を手に入れなければと思うのでした。
次は本成寺から40kmほど南下して長岡市の「常安寺」に向かいます。
ここは天文16年(1547年)に長尾景虎(後の上杉謙信公)によって創建された曹洞宗の寺で、中には上杉謙信ゆかりの品が数多く展示されています。


でも時間の都合上ゆっくりしていられないので、取り合えず常安寺横の階段を登ります。

登った先は秋葉公園となっており、そこに「秋葉三尺坊大権現(秋葉神社)」が鎮座しています。

その奥には厳重に囲われた奥の院、雲蝶の作品がここにあります。


囲いに邪魔されて思う様なアングルが取れませんが、それでも隙間から垣間見える彫刻の豪華さは分かります。

説明書きを見ると、この奥の院は石川雲蝶と小林源太郎との共作で、側面3面の烏天狗の彫刻が雲蝶、他が小林源太郎で、8年の年月をかけて安政5年(1858年)に完成したとあります。

側面の烏天狗の緻密な彫刻、ストーリー性が感じられます。


小林源太郎の木鼻も見事、ここまでやるかというほどの精緻さです。

向拝柱と繋ぐ海老虹梁には龍の彫刻、まさに芸術品です。

これらはほんの一例、詳しくは常安寺のHPをご参照下さい。
結局今回のGWではこの2社しか周れなかったのですが、聞けば新潟の旅には「雲蝶巡り」というコースもあり、雲蝶の作品がある寺社の数は14社もあるそうです。
