杜の里から

日々のつれづれあれやこれ

ツルネンさんへのメール(4)

何人かのEMを信奉している議員さんとお話していると、どうしても彼らとは相通じない言葉の壁というか、視点の違いというものを感じてしまいます。
ツルネンさんを見ても、まずその根底にEMがあり、EMの普及が有機農業の発展に結び付くと考えているように見えます。
しかしそれは、結局一部の特定の業者だけが利する事になるという視点を彼が見逃しているのではと私は思うのです。
それを明らかにするため、私は「プリウス」の例を提示してみました。しかし、それはどうもご理解いただけなかったようです。
実は(2)で紹介した私のメールには、追伸としてこうも書いていました。
(7月14日 送信)
PS)
このような活動も、「EMの広告塔」と見られかねません。↓

実際このようなツルネンさんの講演活動はEMのサイトで大きく取り上げられ、結果的にEMの広告塔となっています。 
http://www.ecopure.info/topics/topics_054.html
ここで彼が紹介している「土佐自然塾」も実は「EMボカシネットワーク高知」のメンバーの方が主催している所であり、その中では関連業者によるEMボカシ作りの講習も行われています。
ここはEM関連団体の発表会でもありますのでどうしてもEMの話題となってしまうのはいたしかたない所ですが、結局ツルネンさんは、有機農業の普及にEMは不可欠であると遠回しに訴えているのも同然で、業者にとっても真に心強い味方に映っている事でしょう。

ツルネンマルテイ事務所からの返信内容は以下のようなものでした。
*               *               *
(7月24日 返信)
メールありがとうございます。
さて、OSATOさんからご指摘頂いた件ですが、ツルネン議員は有機農業を推進してお
り、また、自身でも永年自宅の家庭菜園で有機農業を実践してきております。
ご存知のように、有機農業と言われるものには、自然農法、循環農法など様々なもの
があります。
また、自然農法にもEM技術を活用したEM農法があり、ツルネンはこのEM農法で家庭菜
園を行っており、大変すばらしいものと考えております。
有機農業推進のため、自身が行っている農法を、その先駆的な技術として自身のホー
ムページで紹介することは、何ら問題ないと考えます。
ただ、仮に大臣、副大臣政務官等内閣の一員となった場合、大臣規範(営利企業
役職員の兼職の禁止等)に触れることはないと思いますが、倫理上差し控えることに
なることも考えられます。
食の安心、安全が問われている現在、有機農業の推進は大変重要な課題と考えており
ます。
ツルネン議員は、現在1%にも満たない有機農産物を、50%にすべく努力して参りた
いと考えております。
OSATOさんのブログを拝見させて頂きましたが、ご自身も家庭菜園や生ごみ処理も
やっておられるようで、「平石式生ゴミ処理機」のこと興味深く拝見させて頂きました。
食の安全と大地の安全のため、共にがんばりましょう。
ありがとうございました。
*               *               *
ようやく私が待ち望んでいた回答が寄せられました。
しかしその内容は私が懸念していた通りのものでした。
自身が行っている農法を、その先駆的な技術として自身のホームページで紹介することは、何ら問題ないと考えます。
この一言が、自分の立場というものを理解していないという事を如実に物語っています。
しかしながら次の文面には、
ただ、仮に大臣、副大臣政務官等内閣の一員となった場合、~(中略)~倫理上差し控えることになることも考えられます。
ともあります。
つまりツルネンさん(この場合はあくまでIさんでしょうか)は、このサイトのEM表記については【倫理上】の問題も含んでいるとの考えを持っているようにも受け取れます。

私はこのような議員さんの活動に対し、一市民、一有権者からの立場で意見をしてきました。それは日頃私が議員さん達の行動を追って見るにつけ、常に感じていた思いでした。
その思いを書き綴り、私はツルネンさん宛てに最後のメールとして送らせてもらいました。
勿論このような意見は数ある投書の中の一つに過ぎず、それによって議員さんの心を動かすものでない事は承知の上です。
ただ、こういう意見もあるという事、その事を頭のほんの片隅にでも留めておいてくれればと願うだけなのです。
*               *               *
(7月24日夜 送信)
こんばんは、ツルネン様、OSATOです。ようやくご返信がありほっといたしております。
さてご返信の内容についてですが、やはり私とは違う観点をお持ちのようで、これは最後まで埋まらな
い溝なのかなと考えております。

> ご存知のように、有機農業と言われるものには、自然農法、循環農法など様々なもの
> があります。
> また、自然農法にもEM技術を活用したEM農法があり、ツルネンはこのEM農法で家庭菜
> 園を行っており、大変すばらしいものと考えております。
> 有機農業推進のため、自身が行っている農法を、その先駆的な技術として自身のホー
> ムページで紹介することは、何ら問題ないと考えます。

との事ですが、私が言っている事は国会議員としての立場からの「公平性」という観点です。
ツルネンさんのサイトを見ますと、「EM情報」と銘打って独立した項目が設けられております。
別に「有機農業」の項目もありますが、そこで他の有機農法の紹介でもあるのかと思って見てみても何
もありません。
これを他の人が見たらどう思われるでしょう。有機農業には様々な方法があると言っても、結局ツルネ
ンさんが推薦するのは「EM農法」だけなのだと思ってしまいます。

>自身のホームページ

とのお言葉ですが、国会議員というのは私人ではなく「公人」です。自分自身の言葉が大きな影響を及
ぼすという事をもっと自覚なされた方がよろしいかと思います。
ツルネンさんが良かれと思って発した言葉でも、それがある特定の業者にだけ有利に働くとなった場合、
それはまぎれもなく「利益誘導」とみなされます。

EMというのは一般名詞ではなく、特定の商品に付けられた「商品名」です。
比嘉照夫さんが開発した微生物資材に、彼が「EM」と名付けた。その言葉の意味は「有用(Effective)」
と「微生物群(Microorganisms)」の略である、それだけの事です。
ホームページで紹介されている業者のパンフレットも、「販促」のための広告でしかありません(他の
業者も同じような広告を出しております)。

EMに夢中になった人達は皆、EMこそがすばらしいと思ってしまいます。でもそれは間違いです。
他にもいいものはたくさんあるのですが、それを見えなくさせてしまうという所にその怖さがあります。
EMにのめりこんだ人達は、EMの視点からしか物が見えなくなってしまいます。つまり、そうする事
が正しい事であると思わされてしまうのです。
ご自身のサイトを見ても何も問題がないように思ってしまうのも、その良い例です。

> ただ、仮に大臣、副大臣政務官等内閣の一員となった場合、大臣規範(営利企業
> 役職員の兼職の禁止等)に触れることはないと思いますが、倫理上差し控えることに
> なることも考えられます。

とのお言葉ですが、内閣に入る入らないは関係のない事です。どちらも「公人」である事に変わりはあ
りません。
その事を今一度お考えいただくよう希望して、これを最後のメールとさせていただきます。

この件に関して近々エントリを挙げるつもりです。
しかしこれは、ツルネンさんに対する批判などでは決してなく、「注意喚起」であると受け取っていた
だくようお願い致します。

乱文乱筆にて失礼致しました。

ツルネンマルテイ様へ
  OSATO より。
*               *               *
最後にここでもう一度「政治倫理綱領」を紹介して、今回のエントリーを締めくくりたいと思います。

一、われわれは、国民の信頼に値するより高い倫理的義務に徹し、政治不信を招く公私混淆を断ち、清廉を持し、かりそめにも国民の非難を受けないよう政治腐敗の根絶と政治倫理の向上に努めなければならない。

一、われわれは、主権者である国民に責任を負い、その政治活動においては全力をあげかつ不断に任務を果たす義務を有するとともに、われわれの言動のすべてが常に国民の注視の下にあることを銘記しなければならない

一、われわれは、全国民の代表として、全体の利益の実現をめざして行動することを本旨とし、特定の利益の実現を求めて公共の利益をそこなうことがないよう努めなければならない。

一、われわれは、政治倫理に反する事実があるとの疑惑をもたれた場合にはみずから真摯な態度をもつて疑惑を解明し、その責任を明らかにするよう努めなければならない。

一、われわれは、議員本来の使命と任務の達成のため積極的に活動するとともに、より明るい明日の生活を願う国民のために、その代表としてふさわしい高い識見を養わなければならない。

(終わり)

 




関連エントリー
・「ツルネンさんへのメール(1)
・「ツルネンさんへのメール(2)
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