杜の里から

日々のつれづれあれやこれ

風評被害を生み出すもの

福島原発のおかげで福島県全体が風評被害にあっています。
特に、わが宮城県では小学校の修学旅行で毎度お馴染みの会津若松市が大変な様です。
(J-CASTニュースより)
キャンセル相次ぐ観光地からの悲痛な叫び【福島・会津若松
2011/4/22 17:52
会津からのお願い

3月11日以降、会津から観光客の姿が全くといっていいほど見られなくなってしまいました。

年間350万人の観光客をお迎えする会津若松市は、観光が主要産業といってもいいほどの重要な位置を示しています。しかし全国的に有名な「鶴ヶ城」、白虎隊で名の知れる「飯盛山」さらに、東山温泉・芦ノ牧温泉はキャンセルが続いています。そして、観光施設や土産物屋などからは、閑古鳥が鳴いて悲痛な叫び声が連日のように聞こえてきます。

今さら言うまでもなく、すべて原発による風評被害です。地震津波だけであれば、次のステップに進むことができますが、この原発の影響は、簡単に乗り越えることができない大きな魔物なのです。

さらに、「こんなときに旅行などしてはいけない」という日本人独特の考え方が根強いことも、状況を悪化させる要因の一つのようです。

毎年、会津若松に修学旅行や遠足に来る小中学校は、約1千校で約8万人にお越しいただいており、各観光施設を巡り、お土産を買ったり、お食事をしたりと、この経済効果は大変大きく会津の観光全体に与える影響は計り知れません。

特に、宮城県からの修学旅行が多く、その大半がキャンセルとなり、大きな痛手になっております。そこに原発の影響ということで福島県内はもとより、千葉県、新潟県などの学校は、行き先変更や中止、延期がなされております。

現在、会津若松市民は、全く通常通りの生活をしており、この風評被害に立ち向かっております。観光施設や観光地は、原発の影響で閉鎖しているところは1箇所もありません。

最近では風評被害で困っている会津を心から応援したいと、栃木県那須町の中学生が、遠足で訪れることになりました。本当に涙が出るほどうれしく感謝の念が絶えません。
会津の観光地は、毎日が淋しい思いをしております。会津を応援していただけるなら、一人でも多くの方にお越しいただくこと、それが私たちにとっては最高の幸せです。お待ちしておりますので、よろしくお願いいたします。
会津若松観光物産協会)
(サイトはこちら、強調は引用者による)
この記事を見て、当初お得意様の宮城県が被災地となってしまったから仕方がないと思っていましたが、次のニュースを見ますと、どうやらそんな事情ではなさそうです。

(Yahooニュースより)
修学旅行先「会津」回避 宮城の小中校で変更相次ぐ
河北新報 4月23日(土)13時25分配信
 春の修学旅行シーズンを控え、宮城県内の小中学校が日程や行き先の再検討に追われている。学校や家庭に東日本大震災の爪痕が深いためで、甚大な津波被害を受けた沿岸部の一部学校は実施を延期した。福島第1原発事故の長期化が影響し仙台市内を中心に福島県会津地方だった行き先を変更する動きも目立っている。

 各市町村教委によると、修学旅行の行き先は小学校が福島県会津地方、中学校は東京が大半を占める。
 学区が大きな津波被害を受けた石巻市門脇中は、5月に予定していた関東方面への修学旅行を秋に延期した。平塚隆教頭は「旅行費用は積み立てを済ませており、実施する方向だ。家庭によって事情が異なる。保護者の意向を聞く機会を設けたい」と言う。
 石巻市の小学校の修学旅行は例年、5月下旬~6月中がピーク。市教委学校教育課は「被害の大きい学校は、秋以降に延期するか、場合によっては中止もあるかもしれない」と話す。
 気仙沼市面瀬小は6月に福島県会津地方への旅行を計画していたが、9月に延期した。行き先も岩手か秋田に変える。熊谷俊一教頭は「津波で家が流された児童もいるが、思い出深い学校生活を送らせたい。福島を避けるのは、万一を考えてのこと」と説明する。
 仙台市立小学校では、会津地方だった行き先を変更する動きが加速している。市教委の22日までの集計によると、85校が会津地方を行き先にしており、うち83校が変更したか、変更を検討中という。
 鶴谷小(宮城野区)は5月下旬に予定していた会津地方への旅行を盛岡市などに変えた。瀬戸幸子校長は風評と分かっていても、福島と聞くだけで心配する保護者がいる。会津は毎回児童を温かく受け入れてくれた。こんなときにお返しできず申し訳ない」と苦しい胸の内を語る。
 岩手行きを決めた北仙台小(青葉区)の星俊行教頭は「子どもの安全を考え、保護者全員の理解を得るのも難しいと判断した」と指摘。立町小(同)は具体的な計画を立てる時期にJR東北新幹線の再開見通しが立たず、時期を10月に遅らせ、行き先も岩手にした。
 深刻化する会津観光への風評被害について、菅家一郎会津若松市長は「非常に残念。最近、栃木県の中学生を受け入れたばかりで放射線量も安全レベルと証明されている」と危機感を募らせる。
 菅家市長は会津若松市仙台市はともに、福島第1原発から100キロ前後の距離にあることを指摘。「積極的に情報を提供するので、ぜひ会津を訪れ、応援してほしい」と話している。
(佐藤素子、上村千春)
もう、同じ仙台人として恥ずかしい限りです。いつの世も、こういうほんの少数の「無知から来る不安」というものが、やがては世間を誤った方向へ導いたりするものなのですね。
昨日のNHKニュースではこんな報道がなされてました。
仙台 修学旅行先の変更相次ぐ
毎年、修学旅行で福島県会津地方を訪れている仙台市立の小学校で、ことしの旅行先を岩手県などに変更する動きが広がっています。東京電力福島第一原子力発電所の事故による影響を懸念した動きと見られますが、教育委員会では、「風評に惑わされるべきではない」としています。
仙台市教育委員会によりますと、仙台市立の125の小学校のうち例年は9割前後の小学校が、5月から6月に福島県会津若松市など会津地方を修学旅行で訪れています。
しかし、ことしはすでに92校から、修学旅行の行き先を岩手県山形県に変更するという連絡があったということです。
教育委員会には、児童の保護者から、「原発事故の収束のメドが立たないなか、福島県には行かせたくない」という意見が相次いで寄せられていて原発事故の影響を心配する保護者の意見を反映したものと見られます。
しかし、東京電力福島第一原発から会津地方まではおよそ100キロで仙台市までとほぼ同じ距離です。
仙台市教育委員会では、「仙台は安全で会津は危険だという話は成り立たない。風評に惑わされるべきではない」としています。
一方、仙台市奥山恵美子市長は、26日の記者会見で、「修学旅行の対象が小学生であることなどを考えると、今年度の行き先として会津若松が適切かどうかはかなり慎重な判断にならざるをえない」と述べ、保護者の意見に一定の理解を示しました。
04月26日 17時31分
もう市長さんも何言ってんですか。栃木県の学校を見習って下さい。教育委員会の言ってる事がごもっともではないですか。
こういう時だからこそ、同じ東北人として積極的に応援すべきではないのですか? それとも、それほど一部の有権者の目が怖いのですか?
ついそんな小言を言ってしまいたくなってきます。

今回の記事を読んで、いつぞやの事件を思い起こしてしまいました。こちらの方のブログで引用されている言葉を改めて紹介します。
安全とは科学的な事実を言い、
安心とは感情的な問題です。
安全であるものを安心できない原因は無知にあります。
科学に弱い政府の対応や、
科学を知らない無知マスコミが無責任報道を繰り返し、
世間に無知を増産します。
この無知に踊らされた少数の者により、結果的に仙台市全体が無知による風評被害をばら撒く当事者になる。
それがこの後、どんなマイナス材料となってしまうのか、そんな事を考えると何ともやりきれない気持ちになってしまいます。

この間の土曜日、以前宣言した通り、福島の「花見山」に行って来ました。
あいにくの小雨混じりの天気と風評被害もあいまって、現地は空いていました。
おかげでゆっくり探索する事ができましたが、その風景は何となく泣いているかの様でした。





せめてもの支援のつもりで地元福島の地酒を買ってきたのですが、今回のニュースを見て、思わずやけ酒になってしまいそうな気がしてなりません。