杜の里から

日々のつれづれあれやこれ

TPP問題にイラつく事

ここの所ニュースでTPPの話題が大きく取り上げられていますが、この話題を見聞きする度、どうにもイラっとしてきます。
新聞での世論調査などを見ても、例えば毎日新聞(11月7日)では、TPP交渉参加問題に関心があるのは70%にのぼるが、「参加」34%「反対」25%、そしてもっとも多かったのが「分からない」39%であったという結果を載せています。
(以下引用 ↓)
毎日新聞世論調査:TPP参加「わからない」最多4割 「関心ある」は7割
 ◇内閣支持率、8ポイント減の42%

 毎日新聞は5、6両日、全国世論調査を実施した。環太平洋パートナーシップ協定(TPP)の交渉について「参加すべきだ」が34%で、「参加すべきではない」(25%)を上回った。ただ、「わからない」も39%に上った。外国への原発輸出については「反対」が65%に達し、「賛成」は31%にとどまった。政府は10月末、ベトナムへの原発輸出で合意したが、福島第1原発事故後の輸出再開には慎重論も根強い。

 TPP交渉を巡り、野田佳彦首相は12日から米ハワイで開かれるアジア太平洋経済協力会議(APEC)での参加表明に意欲を示している。TPP交渉参加問題について「関心がある」との回答が70%を占め、「関心がない」(28%)を大きく上回った。関心が高い一方で、参加の是非は「わからない」との回答が多く、政府が十分情報を提供できていない現状がうかがえる。

 支持政党別でみると、民主支持層は「TPPに参加すべきだ」が47%に上り、「参加すべきではない」の17%を大きく上回った。一方、自民支持層は「参加すべきだ」(32%)と「すべきではない」(37%)が拮抗(きっこう)した。

(↑ 引用終わり)
だいたい「分からない」となるのも当たり前でしょう。
これは政府やマスコミの説明不足のせいという意見もありますが、そもそも今回問題になっているのは、TPPに参加する以前のTPP交渉に参加するか否かを問題としているのに、議員達の頭では、すでに【TPPに参加】した事を前提にして賛成反対などと揉めているからです。
そして反対派の議員は、国内自給率が40%から14%に落ちるなどと、一体何を根拠にこんな数字が出てきたのか何の説明もせずにただ反対反対と唱えるだけ。
それに説明不足と言っても、そもそも交渉に参加してみなければ、中で何がどのように話し合われているかすら分からないでしょう。
つまり、交渉に参加して初めて政府は国民に対して説明が行える訳であって、TPPに参加するかしないかはその後の問題のはずです。
だから結局自分としても、「交渉に参加する」事は賛成ですが、「TPPに参加すべきかどうか」は「分からない」としか言えない訳ですね。それは交渉の結果次第で変わるものなのですから。

さて、取り合えず私が交渉参加賛成派であるという立場を明らかにした訳ですが、これまでは前段、本当にイラっとする事はこれからなのです。

報道やネットなどでは、参加推進派からはTPPに参加した時のメリット・デメリットとか、TPPに参加しなければならない理由などが色々(例えばこことかここなど)述べられています。
そして反対派の言い分を聞いてみれば、その中のデメリット部分のみ取り上げて反対反対と言っている訳です。
これまで我々国民に向けられてきたのはこんな議論ばかりで、実はマスコミも含め、賛成派反対派双方とも肝心な説明が抜けているのですね。
それは、

「TPPに参加しなかったらどうなるのか?」

という事です。
TPPに参加する事によるメリットとデメリットがあるのなら、「参加しない」事によるメリットとデメリットもあるはずです。それは何なのか?
その事が理解出来て初めて、我々はTPP参加への賛否の判断が出来るのです。

ところが、賛成派も反対派も、マスコミもニュース解説者も、誰もこの事を説明しようとはしません。
特に反対派は、「参加する」事を前提にしてのデメリットを訴えるぐらいなら、同時に「参加しない」事によるメリットも訴えなくてはなりません。しかしその説明は、待てど暮らせど一向に我々の前に出てこないのです。
結局賛成派も反対派も見ているのは自分達の足元ばかり、国家の将来をと言いながら誰も国民の方を向いていないという、この状況に私はイラっと来ているのです。

交渉参加に賛成の立場から見ると、交渉を繰り返し、結果TPP参加に反対とするのなら分かりますが、交渉そのものに反対というのは訳が分かりません。
参加交渉問題に言及しているすべての人、特に反対派の方に、今後日本がTPPに参加しなかった場合のメリットというものをぜひご教授願いたいと思います。
そして5年後、10年後の日本経済がどうなるのか、参加した場合は自給率が40%から14%になるとまで言うのなら、ちゃんとしたデータを元に具体的な数字を挙げた、参加しなかった場合の緻密なシミュレーションをぜひ国民の前に示していただきたい。
そしてそれが出来ないのなら、

「票稼ぎのパフォーマンスなんか止めろ」

と言ってやりたい人達がいっぱいいる事に、私はまたイラっとしてしまうのです。