杜の里から

日々のつれづれあれやこれ

国会議員が特定企業の利益誘導をする事は許されるのか?

いつも立ち寄っているEMのサイト「新・夢に生きる」の最新号の中で、比嘉さんが注目すべき発言を行っていました。
(新・夢に生きる〔79回〕より以下引用 ↓)
昨年の12月3日に国会議員の超党派による有用微生物利活用議員連盟が発足しました。スタートは50人内外でしたが、その後も新規に加入いただいていますので、近々100人を超える規模になりそうです
(強調は引用者による)
ここで注目すべきは、議員連盟の名称にEMとは表記せず「有用微生物」という単語を使っている事で、あたかもEMという特定商品を指すものではない様な印象を与えているのですが、比嘉さんはこうも続けています。
この3点はEM生活を徹すれば、すべて解決するレベルのものであり、EM生活をすることが国民の義務ということになれば、有用微生物利活用議員連盟は日本をして未来型国家にする大きな役割を果たすことも可能となります。
と、あたかもこの議員連盟が、EMを使う事が国民の義務となるべく活動するかの様な印象を受けます。
この議員連盟には自民党衆議院議員の野田たけしさんが会長として就任されましたが、彼はご自身のブログ内でこのように発言しております。
EM(有用微生物群)は、乳酸菌・酵母光合成細菌の三種を複合培養した微生物資材で、有機JAS認定の土壌改良剤であり、比嘉照夫 農学博士(琉球大学名誉教授)によって開発されました。
この一文からも、「有用微生物利活用議員連盟」の名称となっている「有用微生物」という単語が、実は「EM」を指している事を認めている訳です。
そして野田さんはこう続けます。
最近では、水質浄化などの総合改良剤としても活用されています。その抗酸化力は極めて高く、生物や人間にも安全無害であり、環境に副作用的に悪影響を与えることはありません。
「抗酸化」、「悪影響なし」、これはEMの宣伝でいつも使われている文言であり、ここで野田さんが仰っている内容もEMの宣伝文句そのままです。
そして日記はこう締めくくられています。
今後、この有用微生物の利活用が発展するよう、尽力してまいります
(魚拓はこちら
見れば分かる様に、ここでいう「有用微生物」が何を指しているのかは明らかですが、さてそれでは果たして国会議員としてこの様な活動を進めて行く事には何の問題もないのでしょうか。

そもそも「EM」とは、比嘉さんが大株主を務める「EM研究機構」という沖縄の企業と、宗教法人「世界救世教いづのめ教団」の関連団体である「EM研究所」という静岡の企業が製造販売している微生物資材の商品名です。
このEMの名自体が「有用微生物群(Effective Microorganisms)」という比嘉さんの造語の頭文字であり、「有用微生物」と銘打ってもそれがEMそのものを指すならば、これはまぎれもなく特定企業の特定商品に対する利益誘導となる訳ですが、国会議員としてその様な活動を行う事は何の問題もないのでしょうか。
もし「有用微生物」というのがあくまで一般名称を指すというなら、EMのみならず他の微生物資材の比較検討とか新たな活用法なども探るという事になる訳ですが、この議員連盟は果たしてそんな活動も行うのでしょうか。

今現在日本の各地では、それぞれの土地に生息する固有の微生物を利用した資材が作られており、現に野田さんの地元である熊本市にもラクトヒロックス」プロトンS」「ビフィド・ロンガム」なる微生物資材を製造販売している会社があります。
もしあらゆる「有用微生物」の利活用を図るならば、当然この企業の製品も検討されなければならない事になる訳ですが、野田さんがここの企業の製品を使う様周りに宣伝して回ったら果たしてどの様な事になるでしょうか。
私が気がかりなのは、取り扱った企業の関連団体などから、もし政治献金などが行われていたらどうなるのかという事なのです。
そしてさらに、ここで地元企業の商品を宣伝する事が問題となるならば、他企業の同じ様な製品を宣伝する事は何の問題にもならないのでしょうか。
つまり、地元の製品には何も触れず、他地域の特定商品ばかりを宣伝する行為は、国会議員として果たして何の問題もないのかという事です。

この事は以前ある議員さんとのやり取りで指摘した事でもある訳ですが、この時引用した「政治倫理綱領」を改めて紹介したいと思います。
一、われわれは、国民の信頼に値するより高い倫理的義務に徹し、政治不信を招く公私混淆を断ち、清廉を持し、かりそめにも国民の非難を受けないよう政治腐敗の根絶と政治倫理の向上に努めなければならない。

一、われわれは、主権者である国民に責任を負い、その政治活動においては全力をあげかつ不断に任務を果たす義務を有するとともに、われわれの言動のすべてが常に国民の注視の下にあることを銘記しなければならない。

一、われわれは、全国民の代表として、全体の利益の実現をめざして行動することを本旨とし、特定の利益の実現を求めて公共の利益をそこなうことがないよう努めなければならない。

一、われわれは、政治倫理に反する事実があるとの疑惑をもたれた場合にはみずから真摯な態度をもつて疑惑を解明し、その責任を明らかにするよう努めなければならない。

一、われわれは、議員本来の使命と任務の達成のため積極的に活動するとともに、より明るい明日の生活を願う国民のために、その代表としてふさわしい高い識見を養わなければならない。

私としてはこの議員連盟が、

「特定企業に肩入れして地元企業を見捨てる議員連盟

となってしまわない事を、ただただ祈るのみです。