杜の里から

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「ウィークエンド東北」でやった『子宮頸がんワクチン副反応の治療』の特集をぜひ全国ネットで(追記あり)

毎週土曜日の朝、地元のNHKでは「ウィークエンド東北」という、東北地方限定の情報番組を放送しています。
4月2日の放送で、今話題になっている子宮頸がんワクチンの副反応に対する、とある治療法が紹介されましたが、それが中々に興味深い内容でした。

番組サイト内では
<< 子宮頸がんワクチン 苦痛を和らげたい >>
年間1万人以上が発症している子宮頸がん。予防効果を期待してワクチンを接種した人たちの中に、全身の痛みや記憶障害などを訴える人が相次ぎ、国は積極的に接種を勧めることを中止している。ワクチンの接種とその後の症状との因果関係は十分に証明されていない。そんな中、仙台市のクリニックで行われている、ある治療法が患者や家族の関心を集めている。
と紹介されております(サイトはこちら)。


この治療法というのは、鼻の奥にある上咽頭におきた炎症(上咽頭炎)を治療するというもので、特集ではこれにより長年苦しめられてきた全身の痛みが無くなったという女子校生も紹介されていました。

番組内での解説によりますと、上咽頭のすぐ上の部分には脳の視床下部があり、上咽頭の炎症が視床下部にも影響を及ぼし、それが元になって全身の痛みになるケースがあるそうです。
そしてこのクリニックでは、診断した子宮頸がん副反応患者31人すべてが「上咽頭炎」を発症していて、【塩化亜鉛溶液】を用いてその炎症を治療した結果、治療患者16人中13人の症状が改善したそうです。
番組では子宮頸がんワクチンを打ち、全身が痛んで歩く事が出来なくなって2年になる車椅子の少女が、この治療を受けて4ヵ月後、杖を突いてですが自力で歩くまでに回復し、地元山形県の月山に共に登るという母の夢も、もうすぐ実現出来そうだと喜ぶ母親の姿も紹介されていました。

今回の特集内容について調べてみると、2015年6月10日に投下されたこの記事が見つかりました。
YAHOO!知恵袋
『子宮頸がんワクチン副反応に改善症例/継続追記/治療方法について』(→こちら
紹介されているクリニックや患者数などは今回の特集内容に一致し、NHK仙台でも同じ情報ソースからの取材であったと思われます。
番組では、この治療については「日本口腔・咽頭科学会」でも発表されたと紹介していましたが、これも「第28回日本口腔・咽頭科学会」の中【教育パネル】で、
  「内科疾患における上咽頭処置の重要性:今、またブレイクスルーの予感」
    演者:堀田 修(堀田修クリニック)

として発表されていて、出席したこの方のブログからもその内容が確認されます。

子宮頸がんワクチン副反応に対する上咽頭炎治療というのは今回の放送で初めて知り、こうして改めて調べてみるといくつか見つける事も出来ますが、どうしても限られた分野での隠れた情報という扱いでしかなく、やはりテレビでの紹介(影響)というのは大きいと感じます。

子宮頸がん副反応の原因については、「心因性」のものだとか「遺伝子型」によるものとか様々な説がありますが、いずれにせよ苦しんでいる患者が存在しているのはまぎれもない事実であり、その治療法が待たれているという現実があります。
もちろん今回の治療ですべての患者の症状が改善されるという訳でもなく(事実、16人中3人は未だに改善は見られていません)、またいずれ症状が再発する可能性なども番組では述べられています。
それでも今回紹介された治療法は苦しんでいる患者にとっては一筋の光明でもあり、今回の特集は東北限定ではなく、ぜひ広く全国に向けて公開してほしいと望むものです。
多分いずれ「クロ現」辺りで詳しく紹介されるかもしれませんが、今度はワクチンと「上咽頭炎」との因果関係など、これまで専門家が考えもしなかった新たな知見と、それによる問題解決への別の道筋が開けるかもしれません。

特集では、その治療で今はすっかり良くなった別の少女が実際に顔出しで紹介されていて、苦痛から開放されたその明るい笑顔が強く印象に残ります。
今回の特集を見て久々に、「NHK仙台、よくやった。」と思った次第です。


※堀田修クリニックのHPはこちら

(4月3日 追記)
NHK仙台に問い合わせた結果、今の所再放送や全国放送の予定はないとの事でした。
放送時間帯の事もあり、見過ごした人は数多くいると思われます。
この特集はぜひ広く公開すべきであると、ますます強く希望するものです。

(6月2日 更に追記)
ブログ:「感染症診療の原則」より「HPVワクチンとその周辺 2016年5月」内にて、Youtubeにアップされた映像の紹介がありました。情報感謝致します。
Youtube映像はこちら。↓