杜の里から

日々のつれづれあれやこれ

日韓問題を考える(2)~「優遇措置解除」で誰がダメージを被るの?~

日本と韓国の仲が日々険悪の一途を辿ってますね。

まず韓国政府を一段とヒートアップさせたのが、日本政府の韓国への戦略物資輸出に際しての「優遇措置解除」というものですが、韓国側ではこれを徴用工訴訟への「経済報復」であるとしてあちこちで騒いでいる訳です。

でもまあ、個人的にはこんな反応となるのも無理ないかなとも思う訳です。

G20終了の翌日、あの安倍総理と世耕大臣の突如の会見。正直僕ですら、

「おお、ついにやったか!」

などと思ったぐらいですから、相手側にしてみればどう見たって「経済報復」としか感じられなかったでしょうね。

で、初めがそうだったから、後でいくら「安全保障上の理由」などと説明したってもう無駄、時すでに遅しとなって、今の喧騒となっている訳です。

第一印象って本当に大事ですね~。

 

それからの韓国政府の動きと言えば、まあ驚くほどの右往左往、なりふり構わずというのはまさにこういう事を言うのだなと思うほどの狼狽ぶりは見ての通りです。 

 8月2日にはとうとう日本政府から韓国をホワイト国から除外する閣議決定がなされましたが、それに対し韓国の文大統領は「不当な経済報復措置」であると日本政府を厳しく批判、韓国としては日本と経済戦争勃発・徹底抗戦という何やら前時代的な様相を呈してます。

 

 でもそもそも、これまでの優遇措置が解除となったり、ホワイト国から除外されるだけで、韓国経済が窮地に陥るという事があるのでしょうか?

以前からずっと同じ措置の(実際はもっと厳しい)台湾などは、果たして貧窮に喘いでいるでしょうか?(→参考

 

報道を見ていると、やれWTO提訴だどうだどあれこれ騒いでいるのは、もっぱら政府関係者とマスコミばかりですが、では肝心の産業界からはと言うと、そんな声など全然聞こえてきませんね。 

この騒動を見ていると、当の当事者である産業界、言わば「商売人」からの視点がまるで見えて来ないのですね。

 

そもそも今回優遇措置解除となった対象製品を輸出している日本の企業というのは、国営企業でもなんでもない普通の民間企業であって、その産業形態はどれも皆「受注産業」ですよね。

自分自身、同じ受注産業にいる身として考えてみると、そういう企業はまずは顧客あっての我が身という立場なのですから、当然社是としては「顧客優先主義」を貫いているはずです。

お得意様のためならば、たとえ無理な注文でもベストを尽くし、お客の要求するニーズを満たす様日々研鑽を重ね、結果今に至る最先端技術を身に付ける訳です。

 「下町ロケット」という作品がありますが、あそこで描かれた親会社と中小企業の構図が、まさに韓国サムスンと日本の素材メーカーの構図そのものだと思えば良く理解出来ますよね。

お互いに生き残りをかけた企業の連携、それはたとえ政権がどう変わろうと、たとえいくら反日が叫ばれていようとも、実はそこには以前からず~~っと続いていた企業同士の連携があった訳です。

そして産業形態が「受注産業」である限り、付き合う相手とは必然的に「相互依存」の関係となる訳で、それはどんなに自分がグローバルに展開する企業に成長したとなっても、お得意様を支えるオンリーワンの技術で生き残りをかける中小企業と同じなのですね。

 

今回、まず7月1日に半導体素材3品目の輸出優遇措置が発表され、それを韓国内ではまるで禁輸措置みたいな報道がなされたため、7日には李在鎔(イ・ジェヨン)サムスン電子副会長がやってきて直接日本企業と会合を設けた様ですが、そこでは多分こんな会話だったんじゃなかろうかと僕は思う訳です。

 

「いや~、もう勘弁してぇ~な。まったく政府の喧嘩でこっちゃえらい迷惑やわ。」

 

「ご苦労様です。いやほんま、まいりましたわ。

 おかげでほれこの通りの書類の山、こいつの整理でもうたまらんですわ。」

 

「これからは注文しても入ってくるまで90日かかるんやろか?」

 

「そないな事ありまっかいな(笑)。 こちらでちゃ~んと書類揃えて出せば、すぐ終わりますわ。

 まあ、初めは多少時間がかかるかもしれへんけど、お客さんには絶対迷惑かけぬ様せいぜいきばらせてもらいますわ。」

 

「それは有難いんやけど、政府の方でわざと止めてしまうなんて事あるんやないか?」

 

「ないないないないw。

 今までサムスンさんとこは特別でうちも楽させてもらいましたけど、他のお客さんとこではこんなんいつもの事ですさかい。

 まあこっちの手間は多少増えまっけど、うちとしては通常業務ですわ。」 

 

「なんや~、そないな事なら心配して損したわ~w。ほな後はまかせたわ、頼むで。」

 

「へい、これからもどうぞご贔屓に。毎度おおきに。」 

まあ~、こんな感じですかね。あくまで個人の想像ですが(関西弁についてはまるで自信なしw。)。

 

ホワイト国解除(今回新たにグループ分けに変えたみたいですが)にしたって、戦略物資となる品を扱う業者などは限られているだろうし、そう考えると、今回の措置で直接ダメージを被る企業ってどこよ? と思っちゃう訳です。

 

あるとすれば「不正輸出に携わった企業」ぐらいのもので、つまり今回の措置は、まさにそれを狙ったものではなかろうかとも思う訳です。

 

もちろん中には、これが不正輸出に当たるとは知らなかったという業者が出てくるかもしれませんが、もしそうなれば、それまでずっと見過ごしていた韓国政府の輸出管理の杜撰さが明らかになるという事です。

 

いや、だからそれを恐れて韓国政府はこれほど……あーなるほど、そーいう事か……、 何て勘ぐっちゃったりしてしまう訳ですが、まあ個人的にはこれもこれからの韓国情勢をウォッチする時の一つの注目点となりましたね。

 

今回の日本政府の措置で韓国政府と国民の怒りは頂点に達しているみたいですが、韓国内の大手企業にとっては、これまで散々な目にあっていた政府から逆に支援を取り付ける事も出来、実は内心では、

「ラッキー!」

と思ってるかもしれないですね。

 

今回の事で韓国政府ではようやく「ジャパンリスク」というものに気が付いた訳ですが、そんな事企業側では当に分かっていたはずです。

それは「東日本大震災」での教訓です。

あの時は幸い今回の素材輸出企業は無事でしたが、あの時操業がストップしてしまった国外の工場は一体どれぐらいあった事でしょうか。

もしあの時、今回の素材輸出企業が全部やられていたら、それこそ世界的な半導体パニックが起きていたはずです。

 

その不安を一番肌で感じていたのが大企業でしたが、日本の素材がこれほど使われているなど露とも知らずに、ただ韓国が日本に勝利したとばかり思い込んでいた韓国政府からは、不祥事が続いた事も手伝い、ただ大企業だからという事で目の敵にされ、締め上げられるばかりでした(考えてみれば、一体誰のおかげで韓国経済は潤った?といつも思っていた事でしょうね)。

やがて世界経済の冷え込みも重なり、企業として思い切った投資も出来ず、リスク分散は中々進められなかった訳です。

 

今回の優遇措置解除でも、実は企業としてはさほどのダメージにはならないと知っていて、でもそんな事知らぬ韓国政府はただ日本憎しで慌てて企業支援に乗り出してくれて、企業にとってはまさに願ったりかなったり「待ってました!」と言う環境になった訳です。

 

そういう訳で、政府がパニックとなり国民がこれほど怒る事態になっても、企業の方は何も言わずにただ黙って見てるだけと、そんな風に僕は見ているんですけどね。

 

僕の脳内では今、「越後屋~、お代官様~。」の映像が、繰り返し流れ続けておりますw。

 

※ホワイト国解除の件につきましては、こちらの方のブログが大いに参考になります。

parupuntenobu.hatenablog.jp