杜の里から

日々のつれづれあれやこれ

9年目

 新年の挨拶をしてからしばらくブログ更新もせぬまま、巷ではコロナ騒ぎとなってその情報を追いかけている内に、またこの日が来てしまいました。

 

テレビの特番では相変わらずの震災特集が組まれていますが、今年は式典も中止となり、震災の話題もすっかりコロナの影に隠れてしまった様な、そんな印象を受けてしまいます。

 

ただ、コロナウィルスのニュースやワイドショー等で、そこにゲストに招かれる感染症の専門家の方達がよく、

「2009年の新型インフルエンザの時を思い起こしてみると~」

などと仰っているのを耳にしますが、しかし専門家の先生方には大変申し訳ないのですが、正直言ってその時の事は、

 

全然覚えておりません。

 

その2年後に起こった東日本大震災が、すべてかっさらってしまいました。

調べてみると2009年の新型インフルエンザの時は結局、感染者数は約2000万人、死亡者数は約200人とされていますが、震災の犠牲者の数は、

 

死亡:15899人

行方不明:2529人

震災関連死:3739人(2019年9月30日現在、参考:復興庁

 

と、桁違いの数となっております。

 

すべての時計が止まったあの日から9年、日本の危機管理のあり方もこの震災によって変更せざるを得なくなり、その中でいつしか自分達は、感染症に対する危機意識が薄れてしまっていたという思いを強くします。

 

あの震災関連死数を見てみても、震災から1ヶ月以内で亡くなった人の数は1215人にも及び、そこでは感染症で亡くなった方も多かったのではないかと思われます。

その多くは物理的に引き起こされた医療崩壊、しかしそんな事にすら思いを巡らす事も出来なかったあの日あの時。

あまりにも多すぎた犠牲を見る内、いつしか「死」というものに麻痺してしまっていた。

この所のコロナ騒動を見るにつけ、そんな思いを強くしています。

 

危機管理は過去の災害事象から学ぶものですが、あの大震災の中で見落とされていた事はなかったのか、今現れている感染症について過去の教訓は生かされているのか、そんな疑問も沸いてきます。

 

あの犠牲者の数の向こうには、その数倍の悲しみの数があるという事を改めて思い起こさせる今日の日は、決して忘れてはならぬ事だと深く思い入るのでした。