杜の里から

日々のつれづれあれやこれ

看板が消えた(追記あり)

今年のお盆休みを利用し、7月14日の日記「EMというもの」で紹介したEM看板の場所へまた行ってみました。
あの写真を撮ったのは一昨年の2006年、その年に突如現れた看板だったのですが、それからちょくちょくこのルートを通る度にチェックしていたのです。
そして今年、春以降になって初めてそこへ行ってみた所、何とあの看板が跡形もなく消えていました。↓

(前回紹介した写真 今回写真撮り損ねました)


この看板の主「古川国道維持出張所」のEM堆肥化作業の模様は、「刈草のEM堆肥作り簡単マニュアル」としてWEBサイトでも見る事ができ、それによるとかなり大掛かりに行っていた事が伺えます。
しかしなぜ看板が消えたのか?
その謎を知りたくて、この「古川国道維持出張所」に電話して確認してみました。
それによりますと、今まではずっとEM堆肥化作業をしていたのですが、今年の春になってからその作業は【休止】となったそうです。
それであの看板も撤去したとの事でした。
詳細をさらに聞きますと、堆肥を作ってもそれがあまり利用されないという事が一点。去年作ったものもまだ随分在庫があるとの事です。
それと思いのほか手間隙がかかるという点。
そして何より大きかったのが、EMで堆肥化処理するよりも産廃として処分する方が安上がりなんだとか。

ここでの取り組みの模様はラジオ番組「EMアースコミュニケーション」、2003年(平成15年)10月18日放送分でも紹介されています。
その中で比嘉さんは、
「EMの良し悪しは使い方次第、使う人の能力次第、これを明確に表した事例ですね。」
と仰っておりますが、使う時点だけ考えるのではなく、その後どうするのかという長期的な視点や費用対効果などもよくよく考慮しなければ、それまでの取り組みも過去のものとなってしまうという実例がここにある訳です。

もう一点今回感じた事ですが、「EM活動を始めた」という情報はWEB上にはたくさんあるのですが、その後の状況、特に「活動を止めた」という情報はほとんど見当たりません。
apjさんの「Archives」でもコメントをしたのですが、ここでもう一度その実例として紹介します。
「品川区環境情報活動センター」の「ECOトピックス」に、「[ 2006年07月15日 ] 立会川浄化作戦!闘えEM菌だんご 」という記事が掲載されています。
この記事の最後に、

>今回の『EM菌だんご』と『ホテイアオイ』による浄化作戦が、どの程度の効果をもたらすのか、品川区では追跡調査していきます。

とあります。
しかしそれから3年、品川区のサイトのどこを探しても追跡調査の結果は見つかりません。
そして突然、平成20年度の取り組みとしてこういう事が行われている事が紹介されます。
あのEMだんごはどうなったの?
そう思って方々探した所、ようやくここを見つけました。
この「うるおいプロジェクト」の平成18年7月の欄を見ますと、はっきりこう書かれています。

>EM菌団子投入と水草での水質浄化実験 
>品川区 効果なし

この事を紹介した新聞記事やニュースサイトはどこにもありません。これに関するBlogも皆無です(私が見つけられないだけなのかもしれませんが)。

つまりWEB上では、中止や失敗となった情報は極々僅かで、「開始した」「活動している」という情報ばかりが亡霊のように漂っているというのが現状なのです。
そして新たに興味を持った人はその亡霊を見、その亡霊に取り憑かれる。
そのようにして、無駄な労力の再生産が行われているのではないのか、つい私はそんな思いを抱いてしまうのです。

これらの誤解を解くのは、あくまで初めにその情報を発信した者の責任です。
だから私は、ここで新たにこう宣言します。

「あのEM看板は今はもうありません」
「EM堆肥化処理は、現在そこでは行われておりません」


尚、今の所それはあくまで【休止】であって、在庫分の堆肥がはけた後どうするかはまだ決めていないという事です。

(8月19日追記)
さらに詳しく聞いてみた所、EM堆肥化処理は、平成19年(2007年)には実質休止状態となっていたようです。
その後はずっと在庫処理という事で続いていたという状況でした。
堆肥化処理を薦めていた浪岡さんはすでに退職されていました。
しかしその後もあの看板はそのまま放置され、今年になって周辺の土地開発事業に備え、ようやく撤去されたとの事です。

(8月27日 さらに追記)
品川区立会川の浄化実験も今はもう行われていないようです。
何でも、予算と期間がかかるという事で、現在はまた元の状態に戻ってしまったようです(ソースはこちら)。