杜の里から

日々のつれづれあれやこれ

EM批判記事への驚くべき批判

7月3日と11日の朝日新聞青森版に載ったEM批判記事に対し、7月25日、この記事への批判がDNDメディア編集長の出口俊一氏(以下出口さん)によって行われました。
そのエントリーがこちら朝日新聞が比嘉照夫氏の談話をWebから無断引用の疑い」というものです。
この批判を読んでみましたが、どうも新聞記事の主旨と批判の矛先が噛み合っていない様に感じ、これはちょっと一言言った方がと思っていた矢先、ublftbo さんが詳しい批判エントリーを挙げてくれました。
朝日新聞によるEM批判記事、への反論記事について検討する」(→こちら
まあ、これを読んでいただければそれまでなのですが、これとは別に、私自身が出口さんの批判エントリーを読んで大いに驚いた部分があります。
それはublftboさんも引用していますが、こちらの部分です(強調は引用者によります)。

>菊池氏は、万能性をうたっていること自体が、非科学的だ、とEMを容赦しない。万能性ってその定義にも触れず、具体的な指摘も記事にはない。だれも万能性なんかうたってないでしょうに
>科学者ら、って誰れですか。万能性をうたう、ってどんな風にですか?万能性と決めつけて非科学的という方向に導く、このレトリックのまやかしは、危うさの裏返しでもある。万能性なら、と決めつけて非科学的だという見出しになる。恐ろしい飛躍です。

いやいや、ここを読んだ時なんか飲んでたビールが鼻から噴出してしまったほどで、
「い、今さら~!」
なんて思わず叫んでしまいましたよ。
これについてはublftboさんの結論でも述べていますが、「万能」について比嘉さんはとっくにネット内で発言している訳で、出口さんはその事を全然ご存知でなかった訳です。

以下は補足ですが、そもそも「EMが万能である」という文言はネット内のみならず、比嘉さんご自身の本の中でもしっかり述べられております。

 
サンマーク出版「甦る未来」より

(p.83)
 世の中には万能は存在しないという常識があることは十分に承知していますが、EMの本質を知る私にとっては、EMはやはり万能であるといわざるを得ません。なぜならば、この地球上で起こるあらゆる有害なことは、例外なく直接、間接に強い活性酸素フリーラジカルによって引き起こされているからです。~(中略)~
 一つのもので万能はないといわれますが、EMは一つの名前であって、その中身は地球の蘇生的進化の多様性を凝縮しており、万能であって当然と考えてもおかしくはありません。EMが万能でないという人々は、たんにEMの万能を引き出せないだけであり、EMに罪はありません。

一応証拠として該当ページの写真も載せておきます。
通常はあまりこういう事はしないのですが、まあ出口さんもそうしていますし、こういうのは多分「無断引用」には当たらないのだなと合点しましたもので(クリックで拡大)。


  

この本の初版は2000年8月10日となっています。つまり比嘉さんは、「EMの万能性」についてはすでに10年以上前から言っている訳で、この事を知らなかった出口さんは、つまりこの比嘉さんの本もまったく読んでいなかったという事をここで暴露している訳です。
そして出口さんは、

>「本来は多様な対策が必要な環境問題を、EM菌だけで対処可能と思わせる…」、と長島氏はおっしゃるが、誰がEMだけで対処可能と思わせているのでしょうか、長島氏がご自分で推量しているにすぎないのではないか。

と疑問を呈している訳ですが、出口さんにはこの機会に、ぜひ一度この本をお読みになる事をお薦めします。お知りになりたかった答えはすべてこの中に書かれていますから。
これ以外の本についてはこちらの方が詳しく解説なさっていますので、ぜひこれも参考にされてはと思います。

また「波動・重力波」についても比嘉さんは事あるごとにあちこちで述べているのですが、出口さんはここでも

>長野記者は「関英雄先生が確認した…」の肝心なところを削っており、原文の改ざんも行われていた疑いが出てきた。
>Webから無断引用し、原文を改ざんして比嘉先生の談話のようにみせかけるのは、いかがなものか。これはでっち上げというのか、歪曲というのか、いずれにしても大きな問題をはらんでいることは確かだ。

と述べている訳ですが、この部分を見ますとどうやら出口さんは、
『EMに重力波があるというのは関英雄先生がちゃんと確認したのに、それをただ比嘉さんがそう言っているだけの様に記者は捏造している。』
と思っているのではと私は感じるのです。
これも出口さんに事実誤認があるようなのですが、関英男(こちらが正しい名前)先生というのは独自に『グラヴィトン理論』なるものを提唱した人であって、先の引用部分に関しては「関英男先生が確認した重力波」でワンセンテンスと理解するのが正しく、そして比嘉さんは、

>私はEMの本質的な効果は、〔関英雄先生が確認した重力波〕と想定される縦波の波動によるものと考えています。

と述べているのであり、出口さんが

>その引用の仕方も悪意に満ちていた。「重力波と想定される波動による」とは、それだけ抜き取ると、いかにも記事に言う、現代科学とは相いれない非科学的な独自理論という印象を与えるのに十分な仕掛けだ。

と言うのは、比嘉さんのお話そのものを誤解しているという事であり、この批判はまったく的外れなものである訳です。
ublftboさんの反論でもエコピュア「新・夢に生きる」の事例が載せてありますが、DNDの方でも「第25回 EM技術の立脚点」の中で、「三次元の派動」という単語が登場しています。
これが所謂「重力波」を指すもので、ちなみに「関英男さんの重力波」は科学的にはまったく認められておらず、どちらかといえばオカルトの類に入るものという事も付け加えておきます(→参考)。

そして出口さんの結論、

>河川が汚れる主な原因は、米のとぎ汁というのは周知の事実だ。その米のとぎ汁にEMという微生物群を加えて発酵させる。それを希釈して校庭の花壇や菜園に 撒いたり、家庭のトイレやお風呂場に撒いたり、あるいは河川に注いだりと、まず米のとぎ汁を家庭から下水に流さない、というだけでも環境や河川の水質浄化 によいというのは異論がなかろう。

ですが、【米のとぎ汁を家庭から下水に流さない、というだけ】ならば確かに異論はないのですが、新聞記事は【あるいは河川に注いだり】という部分が問題であり、この事を誰も疑問に思わず検証もせずに、教育現場では「川がきれいになる」と教えている事に対しての問題提起を行っているのですね。

今回このエントリーをご本人がご覧になるかどうかは知りませんが、いずれにせよ出口さんはまた続編をお書きになる様です。

>青森に行ってみると、学校関係者らの間からEMへの批判は何ひとつ聞かれなかった。あったのは、朝日新聞への批判ばかりだった。

だから問題なのだという事を、EMを盲信する人達は誰も気付かないのですね。