杜の里から

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比嘉さんはいつから「波動」を語っていたのか~EMフェスタ講演録から~(前編)

7月3日、EMの発明者である比嘉さんが朝日新聞を訴えるという記事が産経新聞に載りました。

「取材なく無断でコメント掲載された」琉球大名誉教授が朝日新聞を提訴 東京地裁(→こちら

この記事を読んで、自分としてはどうにも違和感を禁じ得ませんでした。

具体的に訴状内容を見ている訳ではないのではっきりとは言えませんが、記事によると訴訟の内容については、
 比嘉氏は同社記者から取材を受けていなかったが、記事では微生物の効果について「開発者の比嘉照夫・琉球大名誉教授は『重力波と想定される波動によるもの』と主張する」などと記載。
 この引用は、比嘉氏が記事の掲載日から約5年前の19年10月1日に投稿したブログから無断で引用されたものだった。さらに一部を切り取るなど改変されていたという。
とし、「無断で引用」され、それが「改変」もされ、
記事によって非科学的なコメントをしたかのようにネット上でも拡散され、原告はこの分野における第一人者としての信用など多大な不利益を被った
という事みたいです。

しかし長年EMに注目している身からすれば、比嘉さんは以前からEMの効果を重力波と想定される波動によるもの』と主張していたと理解しており、朝日記事でのあの部分は比嘉さんのコメントというよりも、比嘉さんが唱える「EM効果理論」の要約ではないかと思っていました。
それが
 「約5年前の19年10月1日に投稿したブログから無断で引用されたもの」
とあったので、
「はて?」
と感じた訳です。

また、こちらの方のブログでも紹介されてますが、「EM情報室」に連載している自身のコラム(報道では「ブログ」となっていますが)で、
私はEMの本質的な効果は、関英男先生が確認した重力波と想定される縦波の波動によるものと考えています。
と述べている事は、そもそもEMの効果が「重力波の波動によるもの」と主張しているのと同じ事ではないかとも感じています。
それにこのコラムのもっと先の方では比嘉さんは、
波動による蘇生的な現象は従来の常識とは異なる別の波動の概念を考える必要があり、私は重力波の存在がその根底にあるものと考えています。
とも述べているのですから、これこそ『重力波と想定される波動によるもの』との主張そのものではないかとも思うのです。

そもそも、このコラムが掲載されたのは2007年10月1日ですが、比嘉さんはこれよりもっと以前から重力波の概念を主張していたと自分は記憶しています。
では一体、いつ頃から比嘉さんは「波動」とか「重力波」なる主張を行っていたのか、彼の直接の言葉が見られる「EMフェスタ」での比嘉さんの講演を過去に遡って確認してみました。
尚、当初は単に「波動」という単語が何個出てくるかだけ確認しようとしましたが、その単語がどの様な文脈で使われたのかが重要であると思い直し、ここではその語が含まれる部分をセンテンス毎紹介する事とし、そのためかなりの長文となってしまいましたので、今回は前編・後編の2部構成とする事としました。

WEB上で確認出来る一番古い記録では、1997年の「EMフェスタ(有用微生物応用研究会第14回発表大会)」が見つかります。
この大会の最終日に、総括講演として比嘉さんの講演が行われ、ここでは農業の『限界突破』の事例と北朝鮮の状況が報告されますが、この時はまだ『波動』という単語はほとんど出てきません。
唯一、EM実践例紹介の中でこう語られるだけです(以降色分け強調は引用者によります)。
『EMフェスタ1997』』 1997.11.8

 これはリンゴでもEMの波動が上がってくると、どこになっているのも、陰も日向もみんな同じ大きさになり、味も同じになり、色も似てくるんです。これは波動効果なんです。波動効果でみんな均一にしてしまう。EMが本当に利くようになった畑はこういう事が起こります。
この時は講演内容もEM実践事例の紹介が主で、EMのメカニズムについては比嘉さん自身まだ模索中であったと思われます。
ただその中で、
  これは波動効果なんです。
と断定的に語られたこの一言が印象的です。

またこの時の講演で、他に注目すべきものとしてはこの様な発言がありました。
「18万円の牛というのはヒネ牛と言いましてね、大概太らない遺伝子の悪い牛ということになるんですが、西尾さんはその牛を買ってきた。そしてEM-Xの静脈注射をやるんですよ。15ccから20ccぐらいを生理食塩水と3倍か4倍ぐらいに混ぜてやるんですね。そうすると牛の遺伝子がちゃんと正常になってきます。」

翌年の「EMフェスタ98」でも、最終日の彼の講演では「波動」という言葉はさほど語られてはいませんが、講演のっけからこの様なフレーズが登場します。
『EMフェスタ98』 1998.11.22より

 今回のEMフェスタの分科会は農業、畜産、水処理、環境とありますが、農業に関しては先程お話したように、いろんな有機物を畑に投入する際にEM処理する、あるいはセラミックスの粉を一緒に混ぜて、その波動値を上げて土の中に入れたり、雑草はEMを撒いて刈り取って、そのまま地表で分解させる。

 OFFの状態の遺伝子がノーマルに働かないから、働く遺伝子を入れましょうという事が遺伝子組み替え技術ですが、EMを使い、さっきの波動技術を平行して行いますと、その遺伝子は全てONの、プラス状態に変わっていきます。
「波動」という単語が登場したのはたったこれだけですが、今回の講演の中では他に気になる単語が登場します。
「今の医学で言えば、抗酸化作用や核磁気共鳴によって組織が正常になっていくという程度の説明なんですが、実際には生命力を強化するプラスα、奥の深い世界がこの中に含まれています。」
ここで初めて「核磁気共鳴」という科学用語が登場し、
「 EMの不思議は人間の進化の不可思議さを見る思いです。精神的なフリーラジカルが消えないかぎり、本質的解決は無理というのも究極的な見解と思っています。
 プラズマ現象のように空気が金属になる未知の世界をEMが動かしていると考えますと、ようやくこの不思議現象に理論的な王手をかけられるんじゃないかと感じています。」
と、比嘉さんなりに科学を勉強し、EMが引き起こす(と思われる)未知の現象の解明に取り組んでいる姿が垣間見られます。
そしてこの結果が翌年の「EMフェスタ99」で披露される事となるのですが、そこにあったのはまさに「波動」に開眼した比嘉さんの姿でした。
後編に続く)