杜の里から

日々のつれづれあれやこれ

病院から仙台大観音を撮る

うちの近所からは、仙台名所の一つ、高さ100mの「仙台大観音」がよく見えます。
カメラテストの時なども、この観音様には絶好の被写体としてちょくちょくお世話になっています。


また、観音様がどこまではっきり見えるかでその日の天気を実感したり、


地元の住人には普段の生活の中で、特に意識せずとも自然に目に入るお馴染みの風景となっています。


でも私の生活圏内では観音様は常に左向きであり、別の角度から眺める機会はあまりありませんでした。

年明け早々親父の容態が急変し、急遽大学病院に入院する事になったのですが、病室は14階の高さにあり、そこからの眺めが中々の絶景でした。
そしていつしかそれを眺める事が私にとって、毎日の見守り介護の中での一服の清涼剤とも言えるものとなっていきました。
元々は親父の容態を記録するために持ち込んだカメラでしたが、せっかくなのでその時々の風景も記録していく事となったのです。
(カメラは携帯性を優先させて、以前紹介したパナソニックの「LUMIX DMC-TZ40」を使用しています。)

ある日の朝7時半の風景、街は朝焼け色に染まり、右方向には七ツ森の山々、左側には泉ヶ岳スキー場、そしてその手前には「仙台大観音」が朝日に照らされていました(写真はクリックで拡大)。
(広角25mm)


ここから見る観音様はいつも見ている角度ではなく真正面を向いており、片方の手はまるで手前のイオンスーパーに置いている様に見えます。
(望遠約300mm)

(光学最大ズーム500mm)


でもこれから僅か1時間後、朝焼けが消えると観音様はまた違った表情を見せてくれます。




またある日などは、雲の切れ目から射した陽光が遠くの山々を照らし出し、神々しい風景となっていました(後に地図で確認した所、後ろの山々は山形県との境にある「船形山(標高1500m)」だと思われます。)。


晴れた日の午後は太陽は左方向から当たって影が出来、それによって観音様はまた別な表情を見せます。


この観音様は光の当たり具合で様々な表情を見せるので、日々眺めても飽きる事はありませんでした。

綺麗に晴れた1月14日の夕方4時頃の街中の風景、この日は仙台の正月行事「どんと祭」が行われました。


病室とは反対側にある食堂の窓からは、大学病院の近くにある大崎八幡宮に向かう「裸参り」の列が見えます。


そしてこの日の模様は、病室のテレビで実況を見る事となりました。

この頃になると親父の容態も安定し徐々に回復に向かっているので、見守り介護も食事時だけの通いへと変わりました。
でも通いで一番の問題がこの時期の気象状況で、16日にはとうとう恐れていた雪が降ってしまい、朝の道路は各所で渋滞となりました。


でも雪が降ったのは朝方だけでお昼までにはすっかり融けてしまい、午後1時頃にはとても同日とは思えぬ風景へと変化します。


そして観音様にはスポット的に陽の光が差し、朝の天気が嘘の様な眩しい姿を現しました。


2月になり、体力も回復した親父の長い入院生活もようやく終わり、退院の日となったこの日は今までにない快晴の天気となりました。
これまではずっと携帯性の良いコンデジで撮っていましたが、この日はフジフィルムのばかでかいコンデジX-S1を持ってきて、ここからの最後の眺めを記録する事としました。
(広角24mm)

(望遠約300mm)

(望遠約500mm)


今までは徐々に進んでいた親父の認知症ですが、今回の容態悪化でその症状は一気に進んでしまいました。これからは様々なケアを受けながらの長い介護生活となります。
こちらも腹を括りましたが、でもだからと言ってこの状況を引きずるつもりは毛頭ありませんし、これからも今まで通りマイペースでいこうと心したこの日でした。


最後に撮った観音様は、僅かに微笑んでいる様に見えました。