杜の里から

日々のつれづれあれやこれ

コロナに罹って知る不便な事

お盆休みをはさみ、全国ではコロナ第七波が更に広がりつつあります。

まずは、8月1週目から3週目までの10万人当たりの陽性者数の推移を。

関東近郊は徐々に下がりつつありますが(千葉・神奈川両県に注目)、1000人の大台に突入する県はどんどん増え、取り分け徳島県の急激な感染状況の悪化が目立ちます。

阿波踊り(11~15日)の影響などがとりざたされてますが、それにしても増え方が極端過ぎます。

8月1週目には東北でも夏祭りが行われましたが、東北6県の上昇率は全国並みでこれ程ではありません。

 

そんな中、盆休み中に僕自身もコロナに感染してしまいました。

順番としては、まずはうちのカミさんが陽性となって僕が濃厚接触者となり、自宅療養の中で僕も感染してしまったという流れとなります。

実際に自分が感染者となり、その手続きの上で随分苦労したので今回はその経過と合わせ、僕なりに感じたコロナ対策の問題点など述べたいと思います。

 

カミさんの症状として初めに現れたのは「発熱」でした。

発熱時、後にコロナ陽性と判明した人との接触があった事からカミさんは初めからコロナ感染を疑い、薬局から抗原検査キットを購入して判断しようとして僕が近辺の薬局を探し回ったのですが、結局どこも扱っていませんでした。

仕方なくカミさんはネットで抗原検査キットを注文したのですが、よくよく見るとそれは「研究用」というものでコロナ判定には使えないものでした。

宮城県では自分でコロナ陽性登録が出来るのでそれを利用しようとしたのですが、そのコロナ登録サイトをよく見てみると、抗原検査キットについてはこんな注意書きが書かれていたのです。

※1.体外診断用医薬品として国に承認されたものに限ります。「研究用」は対象外です。

注文したのが使えないと分かり発熱外来に行こうかどうしようか迷ってる時、連絡していた職場の同僚の方から抗原検査キットの差し入れがありました。

それにはちゃんと体外診断用医薬品の表記があったので早速これで検査を行いました(売っていた薬局を教えてもらい後に3箱追加購入。税込み@1650円/箱)。

陽性判定においても、元々どこのクリニックもパニック状態であるのは分かっていたので、発熱しても医者には行かずにまずは抗原検査で判断するつもりでした。

結果は見事に陽性。

よく抗原検査キットは感度が低いなどと言われてますが、その低いキットで「陽性」と出たのなら、PCR検査などせずとももうそれで決定だろという事です。

 

判定後にスマホから上述の県登録サイトで陽性者登録を試みたのですが、各項目を入力して検査キットと判定結果を写真に撮り、その写真を送ろうとした時にエラーが出てしまい、何度やってもそこから先に進めません。

半ば諦めかけていた所に知り合いのクリニックから連絡が来て、それでようやく無事に陽性認定の手続きをすることが出来ました。

後でよくよくサイトを見てみたら、添付画像は(容量上限:3MB)とあり、スマホ撮影したそのままの画像では容量オーバーで弾かれていたのでした。

でもこういうのって焦っていたら中々気が回らない所でもあり、もっとはっきり目立つ様に書いてて欲しかったですね。

 

カミさんの場合はこうして無事登録が済みましたが、問題は高齢者の僕の方。

同じ抗原検査キットを使って検査した翌日の午前中の結果は「陰性」、自覚症状はありませんでした。

しかしその日の深夜、急に喉がイガイガしてきて、明け方頃には熱っぽさも感じる様になったので起きてもう一度検査してみた所、「陽性」の反応がうっすらと。

 

ああついに僕もと思いつつ、早速コールセンター(24時間対応)に電話をかけましたが、思った通りお話し中で全然繋がりません。

本来はネットから登録センターに直に申し込もうとしたのですが、そこにはこんな制限があったのです。

 ・2歳以上65歳未満の方

自分はすでに気が付けば65歳以上の高齢者、特に基礎疾患がなくても分類上は「高リスク群」の患者に含まれていたのです。

ためにこのシステムは使えず、陽性登録にはまずかかりつけ医かコールセンター経由での保健所への連絡、その後の保健所から患者への直接の聞き取りがなければ陽性者登録されない仕組みになっていたのです。

 

かかりつけ医を持たない僕は、ただひたすらコールセンターに電話をかけ続けるだけでしたが、3時間程かけ続けても繋がらずに諦めかけた頃カミさんの所にクリニックからの電話があり、そこから僕の状況も伝えてもらって無事保健所と連絡が取れる様になりました。

 

この県の登録システムですが、陽性者数が少ない内はそれで有効でしょうが、加速度的に増えつつある現状では高齢者を省くのは間違ってるのではないでしょうか。

自分で陽性判定出来てネットでの手続きが出来る人は、年齢に関わらずどんどん自分で登録出来る様にしても良いのではないかと思うのです。

入力項目には〔年齢〕もあるし、〔基礎疾患の有無〕を記す項目もあります。↓

要は入力後に年齢で仕分けすれば良いだけの事で、65歳以上の人は赤字表示にするとか別のリストに振り分けるとかすればそれで済む話です。

自覚症状が現れた時、そもそも初めの報告の部分で目詰まりとなってしまう様なシステムはもっと改善すべきであると思います。

 

その意味でも、「発熱したら発熱外来に」というのも見直してもらいたいものです。

この時期発熱して疑われるのは間違いなくコロナなのですから、まずは外来窓口に出かけるのではなく、手軽に自分で検査が出来る体制を整えるというのが優先事項ではないでしょうか。

 

それにはまずは抗原検査キットの簡便な購入経路の確保です。

国はようやくネット販売許可に舵を切りましたが、はっきり言って遅すぎると思います。↓

検査キットもようやく薬局で販売出来る様になりましたが、キットを取り扱っている薬局は現在、薬剤師常駐の「調剤薬局」に限られてます。

そのおかげでこちらは市内のあちこちを探し回る羽目になったのですが、では調剤薬局で何をするかと言えば、購入前に窓口でキット箱裏面にある操作方法のタブレット動画を見せるだけです。

「一般国民は医療等に関し、いわば「素人」であり、検体採取や検査等の技術、結果の正確な判定も困難なため。」

との理由から抗原検査キットも薬事承認となっている様ですが、これってあまりにも国民をバカにしてるんじゃないでしょうか。

検査の仕方などはキットの説明で十分出来ますし、箱のQRコードを読み込めば窓口で見せられたのと同じ動画も見る事が出来ます。

陽性判定にしても、これぐらい「見ればわかる」レベルの話です。↓

ただ一点、抗原検査キットはある程度ウィルス量が増えなければ反応は出ないので「陰性認定」には使えないという事だけは理解しておくべきです。

その代わり自覚症状が出てからの「陽性認定」は、ほぼ100%確定判断が出来ると言って良いでしょう。

 

発熱外来をやっている知り合いのクリニックからは悲鳴が聞こえています。

実際医者の立場からこの様な意見も出されています。↓

煩雑な事務作業で医療現場がひっ迫しているのは、コロナ診断とは話が違う事です。

国や行政が早急に行うべき事として、

 

 ・通常薬局での体外診断用医薬品表示抗原検査キット販売(購入補助があればなお良し)

 ・年齢制限なしでの「陽性者自己登録システム」

 ・発熱外来を利用せず抗原検査キット推奨の告示

 

この3点を、コロナ陽性を経験した高齢者からの希望として強く要求するものです。

 

国の管理システムにHER-SYS(ハーシス)というものがありますが、これなど医療従事者ばかりに負担を強いる悪しきシステムの典型となっています。

陽性登録された人には後ほど保健所からSMSで、ハーシスに登録するためのIDナンバーが送られてきます。

このIDナンバーをハーシスに登録すれば、保険金請求の際に必要となる「療養証明書」を発行する事が出来ます。

 

でもハーシスの役割はこれでおしまい。

実際上の経過観察は何かあったら保健所への直接電話連絡で行う事になっており、保健所からは、

「ID登録したら後は何もしないで結構ですよ。」

なんて言われて目が点になったものです。

患者自身にとっては国のこのシステムは、ただ療養証明書を発行するためだけの存在となっています。

 

そもそもこのシステム、説明では

My HER-SYSからご入力いただいた情報は、管轄している保健所へ反映・共有されるため、ご本人等の状態を迅速に把握し、適切なフォローが可能になります。

などとありますが、陽性者が数十万人規模で膨れ上がっている現在、ちゃんと機能しているのでしょうか(多分してない)。

入力された情報を元にAIなどが自動で判別し、症状に合わせて適切な指導や緊急連絡などを自動で行う、なんて事にもなっていないでしょう。

陽性者自ら登録出来るサービスがありながらそれも反映されず、患者個人の細かな情報まで医師が入力作業を行うなど、どこまで現場を苦しめるシステムなんだと思ってしまいます。

 

陽性になった人の8割は軽症で済んでます。

ただ軽症とは言っても、39℃台の高熱や喉の痛みと咳は覚悟しなければなりません。

基礎疾患の悪化で亡くなる80歳代の高齢者の数は前回のデルタ株よりも増えつつあり、致命率はインフルエンザより高いと報告されてます(→こちら)。

 

医療現場を余計な業務から解放し、患者の治療に専念出来る環境を作る上でも、能率的な自己判定登録システムの拡充が待たれます。