杜の里から

日々のつれづれあれやこれ

EMだんごを投下する前に考えて欲しい事

EMだんごによる環境浄化運動について以前このようなエントリーを挙げたのですが、今も相変わらずあちこちでEMだんご作りは行われているようです(→例えばこれなど)。
こういう子供を巻き込んだ環境運動というのは、そもそもそれを子供に教える大人の存在というものがある訳ですが、それを考えた時、私はいつもこういう疑問を抱くのです。
ここの学校では、いったいどのような環境学習が行われているのだろう、と。

EMだんごについては、COP10で配布された〔株式会社EM生活〕発行の資料(pdf)の中のp.20に以下のような説明がなされています。
 

【EM団子が川底に沈み、水の中でゆっくりと崩れてゆくと、団子の中のEMが水の中に飛び出し、微生物環境のバランスを整えながら安定した浄化作用を発揮します。

浄化活動を行っている人達は多分ほとんどの人がこの説明を鵜呑みにし、そしてその効果を期待し、或いは信じてEMだんごを作り川に投下し、その模様をホームページなどで報告していきます(一例)。
そしてこのようなサイトを見た人がまた、自分達も試してみるという様にして広まっていく訳です。

この活動の一番の問題は、EM効果を信じた人がそれを「善い事」であるとし、それが周囲も巻き込んで地域一帯の活動に拡大していくという事です。
勿論この活動がちゃんと実証されたデータに基づいて行われているのならまだいいのですが、活動の多くは、他の地域を参考にした単なる伝聞情報に基づいているだけというのが実情です。
そもそも当人達は、果たしてどこまで環境や微生物について学習しているのでしょうか?

とある実例を紹介します。
これは平成21年度、仙台市立大野田小学校の5年生が行った「笊(ざる)川クリーン大作戦」という環境学習の中の、【有用微生物群大実験】のレポートです。
生徒達は笊川を綺麗にしようと、インターネットを使ってその方法を調べます。そしてそこで「有用微生物群」と出会いました。
これを撒けば川が綺麗になるのでは?と彼らは考え、早速それを作ってみる事にしました。
これはヨーグルトなどから自分達で作るというもので、これは多分製品のEMではなく「えひめAI-2(マイエンザ)」ではないかと思われます。
そしてこの「有用微生物群」は無事完成します。
それから彼らはどうしたのでしょうか? 
他の学校の例に習い、それを川に投下したのでしょうか?

彼らの記録をじっくりとご覧下さい。

【有用微生物群実験隊】(←クリック!)


彼らはこの実験で、多くのことを学びました。そしてこれこそ、本来子供に教えるべき当の大人達が学んでいなければならない事だったのではないでしょうか。
ここでもう一度、彼らの「学び」を紹介しましょう。
この赤字部分を、今現在EMだんご活動をしているすべての人にぜひとも読んでいただきたい、そしてだんごを投げ入れる前にこの事をもう一度考えていただきたい、私は切にそう願うのです。    

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※この大野田小学校の「笊川クリーン大作戦」は、「第17回マイタウンマップ・コンクール時事通信社賞」と、「2009年度東北・水すまし賞」を受賞しています(→こちら)。