杜の里から

日々のつれづれあれやこれ

震災報道に思う事

震災当日、こちらの被災現場ではすべて停電となり、ワンセグなどが見られる環境にあった人を除き、ほとんどの被災地ではラジオが唯一の情報源となりました。
よって当然こちらでは知る由もなかったのですが、何かテレビ東京が震災直後にアニメを放送した事に対して600件ものクレームが来たそうですね。↓
http://www.sanspo.com/geino/news/110401/gnj1104010506019-n1.htm
どちらにせよこちらではキー局がないため見る事は出来なかったのですが、こういうのはまた色々考えさせられてしまいます。
自分としてはアニメは好きだし、以前テレビ東京天皇崩御の際もアニメをやっていたという伝説を作ったりした所ですから、今回のニュースを聞いた時は「さすがテレ東!」などと思ったりしたものです。
実際被災した現場では、深夜になればラジオから流れる悲惨な状況に耳を奪われ、ともすれば夢と現実の区別がつかなくなるような気持ちに陥ったものです。
テレビ報道が見られた所でも、どのチャンネルも皆悲惨な状況を流すばかりで、中にはその圧倒的な映像にショックを受けた人もいるのではと思います。
そんな中、通常通りにアニメが流れているのを見た時、一瞬悪夢から覚まされた様に感じた人も多かったのではないでしょうか。
勿論これは、東京12チャンネルの頃からこの局を見ていて、ここを良く分かっている自分だからこそそう言える事かもしれませんが、やはり中にはこの非常時にけしからんと感じた人もいる訳です。
しかしそれは人それぞれ、あくまで個人の考え方ですから、私としては今回のテレビ東京の行いについて、良いか悪いかという視点からの判断は出来ません。
ただこの話を聞いた時、この非常時にあくまで自社の信念を貫いたその姿勢には「あっぱれ」と思うし、逆に頼もしささえ感じたという事をここで言っておきます。

またアニメと言えば、震災から一週間後の3月19日、フジでは「ワンピース THE MOVIE エピソードオブチョッパー+」が放映されましたが、あれはちょっと勘弁してもらいたいものでした。
その画面の上下横には災害情報がずっと出ずっぱりで、リアルタイムで刻々と情報が流され続けていたのです。





本来アニメとは現実を離れてその世界に没入するものですが、このテロップには正直まいりまして、もうこれ以上見るのに耐えられなくなり、フジには悪いのですが途中でチャンネルを変えてしまいました。
まあ放送局の仕様のせいで仕方のなかった事なのでしょうが、正直この放送中だけは情報テロップは出さないでほしかったというのが素直な気持ちです。
対照的だったのがNHK教育で、今まで精力的に被害者の安否情報を流し続けていたのが、この日の夕方にやっていた「バクマン」は情報テロップなしで放送され、「さすが教育!」などと思わず感動してしまったものです。

震災中の報道に思った事は色々あります。中でもACの広告については誰もが感じていた事でしょう。
民放ではどこもCMが自粛され、代わりに一斉にACの広告が流されましたが、もうこれはいい加減にしてほしいとずっと思っていました。
被災した側から言わせてもらえば、被災直後はCM自粛も理解出来るのですが、震災からずっと同じ広告が流され続けているのはもう勘弁願いたいのです。
せっかく復興へ向けて歩き出そうとし、何とか気持ちだけは先へ進もうとしてるのに、同じ絵ばかりしつこく繰り返されるのを見る度、気持ちはまた震災直後に戻されてしまうのです。
新年度にもなった事でもあり、そろそろ元気が出る様なCMをもっと見たい、そう思っています。

こういう非常時に放送する側は、その内容についてはかなりナイーブにもなる事でしょうが、これからの放送についてこちらから望む事があります。
それは復興についての情報を出す際、必ずそれに携わった人達の姿を映して欲しいという事です。
よく「東北本線は○日開通予定」などと簡単に一行ほどで紹介されたりしますが、それは時間が経てば自然に回復するという訳ではなく、そこには復旧に努力する大勢の人達の姿があるはずです。
その姿を映して下さい。
こちらでは、震災直後から市内を駆け巡って電力を復旧していた人々の姿が町のあちこちで見られ、電気が通った時などはその明るさに感動し、彼らの仕事ぶりに大いに感謝したものです。
この仕事の様子なども、もっと広く報道されるべきだったと思っています。
福島原発で当初は語られる事がなかった作業員達の姿も、それが紹介されてからはこのニュースを見る目も変わった事でしょう。

我々はこれから復興へ向けた長い道のりを歩いていかなければならず、その覚悟を国民全体で共有しなければなりません。
ローカルで色々流れる情報は地元の人は見る事は出来ますが、他の地域の人が見る事はあまり出来ません。こちらでも流されるのは東北の事ばかりで、茨城や千葉でも大きな被害があった事などはかなり後になってから知った程でした。
ですから報道は、そんなローカルの話題もどんどん全国に発信して下さい。
そして現地の人々の姿を紹介し、お互いに元気を出し、勇気が湧く様な映像をどんどん流してほしい、そう願います。
地元河北新報社は、今回の新聞報道の紙面をネットで公開しています(→こちら)。
これは元々は被災地向けのものですが、ぜひ全国の人にも見てもらいたいと思います(併せてこちらも)。

個人的には今は以前のように純粋にバラエティ番組を楽しむ事は出来なくなってしまったのですが、他の地域の皆さんはイベントの自粛などせずどんどんやって、どんどんお金を使ってほしいと願います。そうする事が復興への何よりの支援だと思うのです。
そして出来れば、使ったお金のほんの一部を、義援金として寄付してほしい。企業は値段の一部が義援金となるような商品をいっぱい出して、それを皆がどんどん買ってほしい。
もう、日本中がええじゃないかとなる様な義援金狂乱騒ぎが湧き上がり、世界中に日本人の底力を見せつけてほしい、そんな事を思ったりしているのです。


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